コンクリート工学論文集
Online ISSN : 2186-2745
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下水道施設における防食被覆材の長期供用環境下における劣化機構
藤澤 健一今井 隆太千々和 伸浩藤井 学
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2025 年 36 巻 p. 61-69

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抄録

下水道関連施設における硫酸劣化対策として,表面保護工法が主に用いられる。表面保護被覆の耐硫酸性については,試験室内での促進試験の事例はあるが,実施設での調査報告はほとんどなく,硫酸浸透・躯体劣化の機構は未解明であった。本研究では,約20年供用された施設において表面保護被覆の調査を行い,長期の劣化機構の解明を試みた。塗膜分析の結果から,硫酸劣化環境下では塗膜中を,硫酸が透過することが確認できた。透過した硫酸は,躯体コンクリートを徐々に劣化させることも確認された。硫酸によるpHの低下領域は,中性化深さより深くまでおよび,セメント硬化体へ影響を及ぼしていることが確認できた。

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© 2025 公益社団法人 日本コンクリート工学会
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