2025 年 3 巻 1 号 p. 19-33
錐体と桿体だけでなくメラノプシン細胞も色の見えに寄与することが最近報告されてきている.しかし,これまでの研究では視覚刺激(光源)を視野の一部にしか呈示していないため,視野周辺に広く分布するメラノプシン細胞が照明環境の色の見えに与える影響は不明である.そこで本研究では,メラノプシン細胞が照明環境の色の見えに与える影響を調べるために,波長可変LED光源を天井に配置した装置を作成して実験を実施した.実験参加者は色覚正常の10名で,光源の条件は相関色温度(2700K,5000K,8000K)とメラノプシン細胞の刺激量を組み合わせた8条件とした.実験の結果から,5000 Kと8000 Kの一部の条件においてメラノプシン細胞の刺激量が高いほど緑成分方向に変化する傾向がみられた.部分的な視野だけでなく,照明環境の色の見えにもメラノプシン細胞が寄与している可能性が高いことから,照明光の分光分布設計は,測色値だけでなく,メラノプシン細胞の刺激量も考慮する必要があることが示された.