抄録
主要農作物の採種体系は、一応の様式はととのえられてはいる。しかし、主要農作物種子法に基く府県段階での採種運営は採種担当者の判断にまかされているのが実情である。連続採種を続けている内に、品種の特性が失われたり、純度が低下したりする例は従来から知られている。これらの原因は遺伝子突然変異、隣接異品種との自然交雑、異品種種子の機械的混入、Polygenesに支配される形質の後代での遺伝的分離等が知られている。ここでは、イネ採種圃での漏生籾の発育による異種混入の可能性と、糯品種中への粳花粉の飛来による自然交雑の調査事例について述べる。