日本作物学会中国支部研究集録
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米子市目久美遺跡 (縄文・弥生時代) の出土種実の同定
笠原 安夫武田 満子藤沢 浅
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1985 年 27 巻 p. 64-65

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抄録
目久美遺跡は鳥取県米子市に位置する縄文前期から弥生中期, 更に中近世にかけての山陰でも代表的な複合遺跡である。この遺跡は1933年に新加茂川の開削時に発見されたもので過去3回の部分調査を受けており, 特に遺跡の一部は米子市指定史跡として保護されている。今回の発掘調査は現在の川幅の拡幅改良工事の事前調査として1982・1983年に鳥取県の委託を受け米子市教育委員会が行ったもので, 最初は長さ100m, 幅25m (2, 500m^2)の広さで行われた。下流では地表下3.7m掘り下げたところ中海が入っていた。この試掘調査で沖積層の土層が詳しく調べられ, 表土層から最下層(I〜IX層)までの各層から中近世・弥生・縄文の各時代の土器, 木器, 石器, 動植物の遺体が多数出土した。弥生時代の層では農耕具が発見され水田跡の遺跡が推察されたため, 1982年に土壌の科学分析(イネのプラントオパール)を宮崎大の藤原宏志助教授が行い, その結果, この層が水田土壌であることが判った。また区画を広げると畦, 水田, 水路などと多数の足跡が確認された。さらに1983年には弥生前期の水田跡が発掘された。また下層の縄文遺跡には低湿地特有の有機物を多数埋蔵しており, VII, VIII, IX層には縄文, 後・中・前期の地層が見つかり土器, 獣魚骨, 石器, 木の実, 糞石などが出土し, 山陰の縄文遺跡では他に例のない複合遺跡となっている。
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© 1985 日本作物学会中国支部
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