抄録
本研究は植物油中にはリノール酸・グリセライド区分のほかに分子蒸留初留分に集まる不鹸化物区分に血漿, 肝臓および副腎コレステロールに効果を及ぼす因子が含まれるのではないかと考えられる所から行なわれたものである。
高コレステロール血症を起こす飼料で飼育した成熟雄白鼠において, 7.5%リノール酸・グリセライド区分 (サフラワー油主留分, 175~180℃, 12~5μHg) 単独投与 (I) に比し, 0.2%不鹸化物相当量のコーンオイル分子蒸留初留分 (100~160℃, 20~10μHg) 添加 (II) および, 大豆油初留分 (130~170℃, 20~12μHg) 添加 (III) は総血漿コレステロール, エステル型血漿コレステロール量に低下効果が認められ, 肝脂質, 肝コレステロールおよび, 副腎コレステロールにおいても同様の低下効果が認められた。
また, コーン原油15%添加 (IV), 大豆原油15%添加 (V) においても同様の効果が認められたが, 大豆原油はコーン原油に比し, やや劣ることが認められた。