抄録
最近育成されたイネ品種めぐりあいは, その特性の一つに登熟が良好であることが記載されている.本実験は, めぐりあいの登熟特性を, 親品種の農林22号を比較に用いて, 無処理区と出穂後に上位葉を半分に切除する剪葉処理区を設けて, 出穂開花後の粒重増加過程等に基づき解析した.めぐりあいは, 農林22号に比べ特に2次枝梗上粒の登熟歩合が高く, また粒重増加速度, 最終粒重ともに農林22号よりも有意に高い値を示した.さらに, 出穂後の葉鞘と稈の非構造性炭水化物(NSC)含量の推移をみると, 農林22号が出穂後20日目以降に増加し再蓄積がみられたのに対し, めぐりあいはこの時期にNSC含量の増加はみられず, 無処理区においてはむしろ減少した.なお剪葉処理は, 2次枝梗上粒の登熟歩合や最終粒重, および出穂後20日目のNSC含量を有意に減少させていた.以上の結果から, めぐりあいは特に2次枝梗上粒のシンク活性, 即ち同化産物吸収活性が高く, これが登熟歩合が高い一要因になっていることが示唆された.