抄録
最近栽培が増えている有色米(赤米, 紫黒米)の利用あるいは育種のための基礎的資料を得ることを目的として, 収集した日本産27, 外国産18の有色米計45系統ならびに比較のための広島県水稲奨励品種17品種(普通米)について, 栽培特性と玄米色を調査, 検討した.(1)日本産赤米種は玄米の長幅比によって短粒種と長粒種とに分類でき, 両者は形態的に大きく異なった.(2)玄米長幅比は, とくに外国産赤米種は短粒から長粒まで変異が大きいものの, 外国産紫黒米種には短粒のものはなかった.(3)奨励品種に比較して有色米系統群は概して長稈, 穂数少, 少収の傾向を示したが, 外国産赤米種は変異に富んでいた.(4)地力の高低に対する生育反応は全体として類似するものの, とくに奨励品種群の収穫指数(籾重/全重)は高地力区でも低下しなかった.(5)赤米, 紫黒米, 奨励品種(白米)の玄米の粒色は, 色差計のとくにL値(明度)によって区別でき, 赤米に粒色の段階的な変異がみられた.