環境と安全
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原著論文
偏光顕微鏡を用いたバルク試料中に含まれるアスベストの分析
京都大学にある実験機器を対象にした分析研究
本田 由治山口 裕也酒井 伸一
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2010 年 1 巻 2 号 p. 2_3-2_14

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抄録

   大学等の教育研究機関では、今だにアスベストを含有した実験機器などを使用している可能性があることから、京都大学にある実験機器について、実態把握と分析手法の確認に向けた初期調査のためサンプルを収集し分析を行った。乾燥機の断熱材など31試料中14試料にクリソタイル、アモサイト、トレモライト等のアスベストが含有されていた。また、偏光顕微鏡による分析過程でクリソタイルと酷似した繊維状粒子が試料中に認められた。この試料はセピオライトという天然鉱物を母材としていること、熱履歴のため光学的性質が変化している可能性があることなど何れも正確な分析の障害となり通常の観察ではアスベスト偽陽性と判定される危険性がある。われわれは、(1)熱処理温度と分散色の関係、(2)複数の浸液を使用した時に発色が変化する程度を偏光顕微鏡を用いて詳細に検討することによってアスベスト・非アスベストの判別を行うための判断材料とした。試料中のクリソタイル様の発色が見られた繊維状粒子は、熱により一部のセピオライトが変化したものと結論付けられた。

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© 2010 大学等環境安全協議会
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