環境と安全
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原著論文
水銀含有廃液減容化システムの基礎検討
濵田 百合子冨安 卓滋
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キーワード: 実験廃液, 水銀, 原点処理
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2017 年 8 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

水銀含有廃液は廃液処理費の単価が最も高く、環境面、安全面でも取り扱いに注意が必要である。本研究では水銀含有廃液量を適切に減容化し、廃液処理費用を削減するために、大学の研究室内で実施可能な簡便で実用的な水銀含有廃液の減容化システム構築のための条件検討を行なった。 水銀含有廃液に還元剤を添加して通気し、還元気化した水銀を過マンガン酸カリウム溶液に濃縮捕集する方法について、廃液からの水銀気化条件(還元剤の種類、添加量、通気時間および通気流量)と水銀捕集液としての過マンガン酸カリウム溶液の濃度条件を検討した。 酸性過マンガン酸カリウム溶液の検討した濃度範囲0.01-0.1%で水銀の回収率が90%以上となった。本研究では0.1%酸性過マンガン酸カリウム溶液10 mLを水銀捕集液として用いた。 試料溶液中の水銀イオンの還元剤として、水素化ホウ素ナトリウム溶液、塩酸ヒドロキシルアミン溶液、塩化スズ(Ⅱ)溶液を用いた結果、塩化スズ(Ⅱ)溶液が還元剤として有用であることが確認された。 試料溶液500 mLに対し、還元剤添加後のキャリアガスの流速と通気時間について、流速0.4-0.7 L/minで0-60分間の範囲で検討した結果、流速0.4 L/minで30分以上通気することでほぼすべての水銀が気化し、水銀捕集液中に回収されることが確認された。 以上の結果を踏まえ、実際に本学の研究室で発生した水銀含有廃液の減容化システムを構築し、約20 Lの水銀含有廃液を10 mLに減容化できることが確認された。

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© 2017 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
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