2024 年 62 巻 p. 96-113
筆者は、子供を自立した近代的市民、すなわち、政治参加の担い手を育てることがこの国
の教育にとって不可欠な課題であると考えている。
そこで、現行日本国憲法、教育基本法、学校教育法、学習指導要領の理念から政治的社会
化の理想形を提示する。それは社会に対する公正な判断力、健全な批判力を持ち個性の伸長
の下、現代の多様性を認める大人に育てることである。
ところが、そのような理想形に沿った教育が成功しているとは考えられない現実がある。
そこで、筆者は子供を自立した近代的市民に育てることを阻害する要因を検討する。さま
ざまな要因が考えられるが筆者の観点によれば「校則」が学校生活を通じての最大の阻害要
因であると考える。
その上で、子供を自立した近代的市民に育てるためのいくつかの提言を行うものである。