抄録
筆者らは, B型肝炎ウイルス (HBV) の外殻L蛋白質から形成され約80nmの平均径を持つL粒子を酵母で量産することに成功した. この粒子はウイルスゲノムを含まない中空のバイオナノ粒子であることから, 薬剤や遺伝子などを肝細胞特異的に送達 (ピンポイントDDS) する安全かつ高効率なナノキャリアとし利用できる. さらに, L蛋白質の肝細胞認識部位 (pre-S領域) を各種のターゲティングペプチドやリガンドに置き換えることで, 任意の組織・臓器に再標的化された粒子も構築できるため, 広範なピンポイントDDSへの応用が期待されている.