Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
特集 “感染症におけるDDSの応用と将来の展望” 編集 : 山中 昇
中耳細菌感染動物モデルによるDDSの開発
鈴本 正樹島田 純山中 昇
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 21 巻 5 号 p. 523-528

詳細
抄録

近年の薬剤耐性菌の急増に伴い, 従来まで経口抗菌薬により良好な経過をとっていた急性中耳炎や副鼻腔炎の難治化が臨床上の大きな問題となっている. 薬物移行が不良である中耳腔および副鼻腔における感染症に対しては, 抗菌薬の持つ殺菌作用のみでなく, 有効な抗菌薬濃度を感染局所へ到達させるdrug delivery system (DDS) の利用が鍵となる.
チンチラ実験的中耳炎モデルを用い, 徐放抗菌薬製剤による治療効果についての比較検討を行った結果, 徐放抗菌薬製剤は全身投与あるいは局所点耳投与に比較して高い除菌効果を示した. 徐放製剤を用いた局所抗菌薬治療は, 感染局所へ高濃度の抗菌薬を長期間作用させることができ, 薬剤耐性菌が急増する現状においても有効な治療法の一つとなるものと期待される.

著者関連情報
© 2006 日本DDS学会
前の記事 次の記事
feedback
Top