抄録
がんは1980年代以降,わが国の死亡率のトップを占めている.その原因は,いうまでもなく高頻度で起こるがんの転移や治療後に再発するがんの制御の難しさにある.がんの再発や転移をいかに治療するかががん治療の大きな課題であるが,基本的には,できる限りがん組織に選択的に治療分子を送達させてがんの縮小を図る一方,残存したがん細胞を宿主免疫を利用して排除するようながん標的治療が望まれる.期待されてきた遺伝子治療もまだ大きな成果をあげていないが,その試みを紹介しながらがん標的治療の現状と将来像について考察する.