抄録
皮膚は局所作用や全身作用を期待する薬物の適用部位として注目されており、近年ではアルツハイマー治療薬、注意欠陥多動性障害治療薬など中枢神経系に作用する薬物が承認を受けている。また、表皮は免疫反応場として有用であることから、経皮ワクチンの開発が盛んに行われている。しかしながら、薬物の皮膚透過性は他の粘膜と比較して低いため、経皮適用による効果を期待するためには皮膚透過性改善が必須となる。本章では、薬物の経皮吸収(透過)性を改善させるための化学的および物理的吸収促進法について触れ、その有効性について述べる。