2013 年 28 巻 2 号 p. 109-118
アルギニンなどの塩基性アミノ酸を多く含む10残基程度のカチオン性オリゴペプチドは、マクロピノサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。著者らは、同ペプチドを側鎖に化学結合させたカチオン性オリゴペプチド固定化高分子を設計・合成し、『低膜透過性分子と混合して生体膜上に適用するだけで、膜上に留まる同高分子により繰り返し誘導されるマクロピノサイトーシスを介して、共存する低膜透過性分子のみの膜透過が促進される』ユニークな機構に基づく膜透過促進剤として同高分子の開発を進めている。本項では、オリゴアルギニン固定化高分子の膜透過促進作用及び同機構について、D-オクタアルギニン固定化高分子を中心に検証した結果を報告する。