Drug Delivery System
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特集“脳をターゲットとするDDSの基礎と臨床” 編集:武田真莉子
上皮バリアと血液脳関門~タイトジャンクションがバリアを形成する分子メカニズム~
岩本 典子古瀬 幹夫
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2013 年 28 巻 4 号 p. 279-286

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抄録

上皮組織は体内の恒常性を保つために、外界と体内環境を厳密に区分している。上皮細胞の細胞間接着装置であるタイトジャンクション(tight junctions: TJ)は、傍細胞経路での物質の透過を制御して上皮細胞シートのバリア機能を司る。TJの主要な構成分子は4回膜貫通タンパク質のクローディンであり、遺伝子ファミリーを形成している。血液脳関門(Blood-brain barrier: BBB)は中枢神経系のホメオスタシスを保つために重要な役割を果たしており、脳毛細血管の内皮細胞に存在するTJがそのバリア機能の要である。現在多くの神経疾患や病態においてBBBの破綻が関与することが示唆されている。さらに中枢神経系へのドラッグデリバリーの観点からBBBのTJをターゲットとして創薬につなげる試みもなされており、今後の進展が期待される。

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© 2013 日本DDS学会
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