2014 年 29 巻 2 号 p. 152-159
T細胞、NK細胞、樹状細胞(DC)、マクロファージなど、抗腫瘍免疫応答の主体となる免疫細胞群の放出するエクソソームの生物学的意義や、癌細胞の増殖、全身循環、転移環境形成への関与の報告は非常に乏しい。一方、大量培養が比較的容易な癌細胞に由来するエクソソーム、もしくは癌患者血液中のエクソソームについては、主に内包マイクロRNAs(miRs)介在的に腫瘍細胞自身、繊維芽細胞、マクロファージなどに影響を及ぼし、癌微小環境の形成、原発部位から転移先に至る癌転移環境の形成、腫瘍細胞増殖に重大な役割を果たすことや、癌免疫応答を負に調節することが、近年明らかにされている。本稿では、癌細胞放出エクソソームの機能を理解することによって見えてくる免疫細胞由来エクソソームの可能な役割を論じ、将来のエクソソームをデバイスとした癌免疫治療法の可能性を模索する。