抄録
生体機能の概日リズムを制御する時計遺伝子は、標的となる出力因子を介して、トランスポーター、代謝酵素、受容体などの発現に約24時間周期の変動を引き起こす。また、これらのリズムが成因となって、薬物の効果や副作用の発症は投薬時刻の違いによって変化する。時計遺伝子による概日リズムは自律的な発振メカニズムに基づくものであるが、消化管におけるトランスポーターの発現は摂食によって分泌される胆汁酸などの刺激などでも変化し、薬物の吸収に時刻依存的な変動を引き起こす。本稿では、薬物の体内動態制御に関わる分子の概日変動メカニズムについて概説し、時間薬物療法におけるDDS製剤開発の重要性について述べる。