抄録
超低温場での医薬品微粒子の設計に関し、著者等が構築した2つの技術を紹介する。分散媒として利用した液体窒素中で医薬品粒子を創製することを共通の特徴としており、従来までの医薬品製造技術には類を見ないきわめて斬新かつ独特な粒子設計技術である。これまでに粒子が生成するアプローチが、“break-down”プロセスである粉砕法、ならびに“build-up”プロセスである晶析法の2つの技術を開発した。本稿では、はじめに液体窒素の特異な性質に触れ、この性質を巧みに利用した粒子設計技術の概要について解説する。また、それぞれの技術ごとにモデル薬物を用いた具体的な設計事例を提示する。加えて、通常の製剤化工程ではありえない、この特殊な環境(-196℃)下での製剤化処理により得られた結晶や粒子のユニークな物理化学的・薬剤学的特性について報告する。最後に、これらの技術を応用した難溶性医薬品の製剤化法について提案し、医薬品産業での実用化へ向けて情報を発信する。