抄録
近年、糖尿病治療薬は目覚ましい進歩を遂げている。糖尿病治療に有効な薬効成分は、低分子からバイオ医薬まであるが、それぞれ作用機序が異なり治療の選択肢の幅を広げている。バイオ医薬としては、1型糖尿病の第一選択薬であるインスリンが代表であるが、近年ではインクレチンの1つであるGLP-1(glucagon-like peptide-1)が2型糖尿病の治療薬として重要な位置を占めるようになった。これらバイオ医薬は注射で投与されるのが一般的であるが、非注射剤化の研究開発が世界中で活発に行われており、最も難しい経口製剤化も遠い夢ではなくなってきた。本稿では、GLP-1とインスリンに焦点を当てて、その非注射製剤化に利用されているDDS技術と臨床開発動向について紹介する。