抄録
多くの疾患の発症に、レドックス変動やフリーラジカルが関与することが報告されている。筆者らは、このレドックスおよびフリーラジカル(特に、脂質ラジカル)の検出のために、安定な不対電子を分子内に有するニトロキシド化合物に着目している。この分子は、酸化還元反応および炭素中心ラジカルと結合できることから、実験動物での検出プローブとして利用できる。本稿では、特に脂質ラジカルが化学発がんや光網膜障害時に生成していることを検出プローブで確認し、また阻害剤の投与タイミングを設定できることについて記載する。すなわち、脂質ラジカルの検出と阻害を通じたセラノスティクス研究について解説する。