2018 年 33 巻 5 号 p. 372-376
エクソソームは種々の細胞から放出される、脂質二重膜からなる粒子径100nm前後の膜小胞であり、内因性の細胞間物質輸送機構として機能している。エクソソームによる物質輸送は消化器がんの発生や増悪、転移にも関与する可能性が示されている一方で、内因性の輸送機構であるエクソソームは消化器がんを標的とした優れたDDSとなりえると期待できる。本稿では、エクソソームを利用したDDSについての課題とその解決法について紹介するとともに、これまでに報告されている消化器がんに対するエクソソームを利用したDDSの実例について紹介する。