Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
33 巻, 5 号
消化器疾患治療に対するDDSの展望と課題
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
特集 “消化器疾患治療に対するDDSの展望と課題”  編集:仲瀬裕志
  • 仲瀬 裕志
    2018 年33 巻5 号 p. 367
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー
  • 寺井 崇二
    2018 年33 巻5 号 p. 368-369
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー
  • 高橋 有己, 髙倉 喜信
    2018 年33 巻5 号 p. 372-376
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    エクソソームは種々の細胞から放出される、脂質二重膜からなる粒子径100nm前後の膜小胞であり、内因性の細胞間物質輸送機構として機能している。エクソソームによる物質輸送は消化器がんの発生や増悪、転移にも関与する可能性が示されている一方で、内因性の輸送機構であるエクソソームは消化器がんを標的とした優れたDDSとなりえると期待できる。本稿では、エクソソームを利用したDDSについての課題とその解決法について紹介するとともに、これまでに報告されている消化器がんに対するエクソソームを利用したDDSの実例について紹介する。

  • 藤田 大地, 玉井 郁巳
    2018 年33 巻5 号 p. 377-389
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    薬物の消化管吸収は体内動態を左右する重要な因子であり、医薬品の経口製剤化が求められる中で吸収性の改善を目的として経口DDSの開発が進められている。トランスポーターは、化合物の消化管吸収・組織移行性に関わることから、薬物の膜透過性向上の標的として期待される。また最近では、トランスポーターが膜表面タンパク質であることから、基質認識性を利用したDDSキャリアの表面修飾によってトランスポーターに認識させ、内包した高分子薬物をエンドサイトーシスによって細胞内移行させる手法が報告されている。本手法では適応できる薬物が制限されないため、さまざまな薬物への応用が期待される。本稿では、消化管トランスポーターを標的とした消化管吸収改善のアプローチの現状を紹介するとともに、トランスポーター特性を利用した、安全性・汎用性の高い経口DDS開発に向けた今後の展開について解説する。

  • 西田 孝洋, 麓 伸太郎
    2018 年33 巻5 号 p. 390-396
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    消化器疾患の治療では、全身および非病巣への薬物分布による重篤な副作用が大きな障壁となっている。この問題を解決するための、消化器疾患に対する新たなDDS手段として、腹腔内の臓器表面から薬物を浸透させる臓器表面投与法を考案した。円筒状の拡散セルにより吸収部位が肝臓表面に限定された実験系を新たに構築して、腹腔内の消化器の代表例として肝臓表面からの薬物吸収性を検討した。物性の異なる各種マーカー化合物は、分子量や脂溶性などの物理化学的性質に基づいて、肝臓表面より良好に吸収される可能性を初めて証明した。さらに、抗がん薬に対する本投与形態の適用に関して、肝臓内の投与部位近傍における5-FUの高度な分布を認めた。他の腹腔内臓器である腎臓や消化管漿膜表面からの薬物吸収性や臓器分布についても検討を加えている。また、臓器表面投与法は遺伝子医薬品にも応用可能で、さまざまな戦略により遺伝子発現を促進できることも明らかにした。

  • 増田 智先, 山本 由貴
    2018 年33 巻5 号 p. 397-405
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    メサラジン(別名:メサラミン、5-アミノサリチル酸、5-ASA)は、潰瘍性大腸炎とクローン病からなる炎症性腸疾患の第1選択薬として使用される。5-ASAの有効性は、炎症部位への薬物送達の程度によって決定されるが、それは製剤により異なる。近年、特に潰瘍性大腸炎に対する治療薬としてdrug delivery system(DDS)技術を駆使した5-ASA製剤が次々と開発されており、治療効果向上に貢献している。そこで本稿では、それぞれの5-ASA製剤の薬物動態学的特徴に着目し、製剤の有する特徴と臨床的有用性について紹介する。

  • 松浦 稔, 仲瀬 裕志
    2018 年33 巻5 号 p. 406-413
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    現在の炎症性腸疾患治療の進歩は、治療標的となる分子や作用機序の選択性あるいは特異性の向上によるところが大きく、腸管特異的な免疫制御療法という観点では必ずしも十分ではない。ステロイド、抗炎症性サイトカイン、細胞増殖因子などさまざまな物質を含有し徐放化できる生体内分解性マイクロスフェアーを用いた腸管局所へのドラッグデリバリーシステムの開発は、今後の炎症性腸疾患治療の発展に貢献することが期待される。

  • 我妻 康平, 横山 佳浩, 仲瀬 裕志
    2018 年33 巻5 号 p. 414-421
    発行日: 2018/11/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は、若年者に好発し、本邦においてその患者数は増加の一途をたどっている。IBDの治療には異常な免疫の制御を目的に、グルココルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などが使用されている。その治療効果は確立されているが、全身投与のため長期使用により有害事象が懸念される。また、抗炎症性サイトカインの投与による治療が期待されてきたが、半減期が短く全身投与では必ずしも効果は期待できない。全身への副作用を軽減し、腸管特異的な治療効果が期待できる方法としてDrug delivery system(DDS)がある。現在までは、抗炎症物質を産生するよう遺伝的改変された腸内細菌によるDDSを用いたIBDモデルに対する治療効果のさまざまな報告がなされている。Interleukin(IL)-10を産生する腸内細菌の報告が多いが、近年その他の抗炎症物質での報告も増えている。一方、用いる腸内細菌や抗炎症物質による効果の比較や、安全性の評価、環境への広がりのリスク評価など、今後の検討を積み重ねていく必要がある。

若手研究者のひろば
学会印象記
feedback
Top