Drug Delivery System
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特集 “中分子創薬とDDS”  編集:二木史朗
糖鎖関連医薬
深瀬 浩一
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2020 年 35 巻 3 号 p. 240-253

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抄録

糖鎖は、免疫、感染、炎症、がん、老化など生体の防御や恒常性維持に関わるさまざまな生命現象において重要な働きをしている。2型糖尿病、肺気腫、がん転移など細胞表層の糖鎖の異常による疾患など多数の疾患関連糖鎖が知られており、発症機構についても解析が進み、診断と治療への応用も検討されている。がんバイオマーカーやタミフルやリレンザ等の糖加水分解酵素阻害剤が診断薬や治療薬として開発された。タンパク質バイオ医薬の多くは糖鎖が結合しており、糖鎖による活性や動態の制御が明らかにされつつある。細菌由来糖鎖は、糖鎖ワクチンやワクチンアジュバントとして実用化されている。今後、新規な免疫療法や抗炎症薬、再生医療への応用、診断用糖鎖マイクロアレイなどさまざまな医療への展開が期待される。

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© 2020 日本DDS学会
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