Drug Delivery System
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35 巻, 3 号
中分子創薬とDDS
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集 “中分子創薬とDDS”  編集:二木史朗
  • 二木 史朗
    2020 年 35 巻 3 号 p. 167
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
  • 木曽 良明
    2020 年 35 巻 3 号 p. 168
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
  • 玉村 啓和, 小早川 拓也, 辻 耕平
    2020 年 35 巻 3 号 p. 170-180
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    環状ペプチドはコンフォメーションの固定化により、化学的および生物学的安定性や標的分子との結合親和性が高く、中分子創薬研究の中心的存在である。環状ペプチドに関して、これまでに筆者らは、高い抗HIV活性を有すると同時に、がんや白血病の治療薬候補品として臨床試験第III相が進行中のケモカイン受容体CXCR4のアンタゴニストを創出している。また、多くのがん細胞において過剰発現している上皮成長因子(epidermal growth factor:EGF)受容体(EGFR)に対するリガンドを創出している。また、CXCR4、EGFRのそれぞれに対する2価型結合リガンドを創製し、受容体の二量体を捉えることに成功している。これらの環状ペプチドを薬物送達分子として応用して他の薬剤とのコンジュゲート分子を合成し、この環状ペプチドの標的選択的な認識により他の薬剤を目的の細胞内へ送達できることを見出した。
  • 金井 沙也伽, 小出 隆規
    2020 年 35 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    コラーゲンは全身に存在し、三重らせん構造を形成している。固形がんの周辺組織などでは、コラーゲンが分解されていく過程で三重らせん構造がほどけた(あるいは緩んだ)変性コラーゲンが生じ、蓄積していると考えられている。コラーゲン様ペプチド(collagen-mimetic peptide, CMP)はコラーゲンの構造を模倣する化学合成ペプチドの総称であり、その三重らせん形成能をうまく利用すればコラーゲンの緩んだ三重らせん部分にCMPをハイブリッド形成させることができる。本稿ではこのようなCMPの利用に関するこれまでの研究をまとめ、細胞外マトリックスの構造変化を標的とした新たなDDSのコンセプトを紹介する。変性コラーゲンと疾患の関連性については未知の部分も多いが、今後CMPを応用することで病態の理解が進み、新たな診断・治療戦略が開発されることが期待される。
  • 林 良雄, 六車 共平
    2020 年 35 巻 3 号 p. 191-199
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    抗体の有する多様な機能に立脚した研究ツールや医薬品の開発が注目される今日、抗体のFc部に親和性を有する抗体結合ペプチド(IgBP)についても関心が持たれている。抗原認識に影響を及ぼさないFc部での選択的な化学修飾は、抗体-薬物複合体(ADC)の質的な向上のみならず、新規機能性抗体の創出に有益である。一方、IgBPによる抗体依存型DDSの創製も期待されている。本稿では、筆者らのIgBP研究を紹介したい。具体的には、独自創製の抗がん剤Plinabulinに関するIgBPを介した非共有結合型ADCの創製と、単純な構造でありながら抗体Fc部に最強の親和性を示す新しい小型環状IgBPの開発を紹介する。そしてDDSを含む今後のIgBPの応用について展望したい。
  • 大髙 章, 粟飯原 圭祐, 吉丸 哲郎, 片桐 豊雅
    2020 年 35 巻 3 号 p. 200-211
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)を標的とする創薬が注目を集めている。中分子に分類されるペプチドは、このPPIを効率的に制御可能な分子として、その創薬展開がさまざまな方向から進められている。ヘリックスペプチドを構成するアミノ酸側鎖を共有結合で連結する、いわゆるステープル化戦略がα-ヘリックス性ペプチドの創薬戦略において近年注目を集めている。さて、筆者らは、乳がん細胞特異的にbrefeldin A-inhibited guanine nucleotide-exchange protein 3(BIG3)が高発現し、これがprohibitin 2(PHB2)のがん抑制機能を負に制御していることを見出した。そこで、BIG3とPHB2のPPI制御を基盤とする乳がん細胞増殖抑制ペプチドの創出に着手した。BIG3のヘリックス領域由来配列を創薬展開シードとし、ステープル化戦略を採用することで、in vivoにおいて長期にわたり(約1週間)乳がん細胞増殖を抑制するペプチドを見出した。
  • 藤井 郁雄, 藤原 大佑, 道上 雅孝
    2020 年 35 巻 3 号 p. 212-221
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    近年、低分子化抗体がポスト抗体医薬として注目されている。筆者らは、抗体様活性をもつ中分子の創薬モダリティーとして、ヘリックス・ループ・ヘリックス構造をもつ分子標的HLHペプチド(分子量:約4k)の開発を進めている。ファージ表層や酵母表層提示ライブラリーを構築し、進化分子工学的手法により、さまざまな疾患関連タンパク質に対する分子標的ペプチドを開発している。このペプチドは、強固な立体構造をもつため生体内の酵素分解に対しても安定であり、抗体と同等の高い特異性と強い結合活性をもつ。本稿では、分子標的HLHペプチドの設計およびその生物機能について紹介する。
  • 近藤 英作
    2020 年 35 巻 3 号 p. 222-228
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    ゲフィチニブやリツキシマブの登場以来、数多くの分子標的薬や抗体医薬の医療現場への応用により、現行のがん治療はここ20年来大きく進歩してきた。また、これらによる臨床医療の経験・実績は、研究者たちのがん制御に対する創薬・開発のコンセプト自身を変えてきたといえよう。筆者らは、生体低侵襲性のバイオツールとしてのペプチドに着目し、個別の腫瘍系統に対応して高度にシフトした吸収性を発揮する腫瘍ホーミングペプチドの開発をシーズとしたペプチド・ドラッグコンジュゲート(Peptide Drug Conjugate:PDC)の開発を進め、難治がん制御に資する新たな一手の創出を目指している。
  • 石川 稔
    2020 年 35 巻 3 号 p. 229-239
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    従来の低分子創薬手法では対応が難しい疾患関連タンパク質が存在し、これらに対して新しい創薬戦略が求められている。近年、タンパク質の寿命を短縮する低分子に関する研究が注目されている。本稿では、ユビキチンリガーゼに対する低分子リガンドと標的タンパク質リガンドを連結させた低分子によって、標的タンパク質を生理的条件下で分解させる手法について、筆者らの研究を中心に紹介する。さらに、難病である神経変性疾患の原因となる凝集性タンパク質に本手法を応用した最近の成果を述べ、医薬応用への課題についても議論する。
  • 深瀬 浩一
    2020 年 35 巻 3 号 p. 240-253
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2020/10/25
    ジャーナル フリー
    糖鎖は、免疫、感染、炎症、がん、老化など生体の防御や恒常性維持に関わるさまざまな生命現象において重要な働きをしている。2型糖尿病、肺気腫、がん転移など細胞表層の糖鎖の異常による疾患など多数の疾患関連糖鎖が知られており、発症機構についても解析が進み、診断と治療への応用も検討されている。がんバイオマーカーやタミフルやリレンザ等の糖加水分解酵素阻害剤が診断薬や治療薬として開発された。タンパク質バイオ医薬の多くは糖鎖が結合しており、糖鎖による活性や動態の制御が明らかにされつつある。細菌由来糖鎖は、糖鎖ワクチンやワクチンアジュバントとして実用化されている。今後、新規な免疫療法や抗炎症薬、再生医療への応用、診断用糖鎖マイクロアレイなどさまざまな医療への展開が期待される。
[連載]DDSの「ちょっとした」技術・知識
若手研究者のひろば
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