抄録
再生医療を牽引してきたティッシュエンジニアリング(組織工学)は多様化しており、さまざまのアプローチが開発されている。当研究所では「温度応答性培養皿」を用いて、温度を下げるだけで細胞をシート状に回収、単層あるいは積層化して3次元化した組織を移植するという独自の手法「細胞シート工学」を開発してきた。すでに7つの領域で細胞シート移植による再生治療が臨床応用されている。また細胞シート積層化により心筋組織を代表とする機能的な立体組織の構築を実現、血管網付与技術によるスケールアップに挑戦している。さらに細胞シート工学は、創薬・疾患研究に必要な組織モデルの構築や近年話題となっている培養肉の生産にも応用されており、未来に向けた新たな展開も始まっている。