抄録
抗体医薬品は、細胞培養、精製、製剤化などの製造工程、および保存条件下でさまざまな修飾を受けることが知られている。抗体医薬品の品質確保のためには、その変動が有効性・安全性に影響を及ぼす可能性のある構造特性が、あらかじめ規定した限度・範囲・分布内となる管理戦略を構築することが重要である。抗体医薬品のクロマトグラフィー技術を中心とした構造評価手法は確立されている一方で、複数種類の分析を実施する必要があり、その煩雑さから評価手法の集約と簡略化が議論されている。このような背景の下、multi-attribute method(MAM)と呼ばれる定量的構造評価手法が注目されている。本稿では、抗体医薬品の翻訳後修飾、MAMの概要と課題、およびMAMによる修飾解析の現状について概説する。