Drug Delivery System
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特集 “ニューモダリティを操る物性評価技術”  編集:川上亘作
核酸の熱力学
織田 昌幸
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2021 年 36 巻 5 号 p. 353-359

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抄録
DNAのオリゴヌクレオチドへの解離(変性)を示差走査熱量計(DSC)で、逆方向のオリゴヌクレオチドの結合を等温滴定熱量計(ITC)で、いずれも熱力学的に解析し、塩基鎖長や溶液のイオン強度が与える影響を評価した。DSC解析の結果、塩基鎖長依存的に変性温度、エンタルピー変化量ともに増大した。一方、ITC解析の結果、塩基鎖長依存的に結合エンタルピー変化量は負に増大するも、結合エントロピー変化量が補償することで、平衡結合定数Kaは最大で108 M–1程度であった。またイオン強度上昇に伴い、DNAの負電荷反発の低減により、変性温度が上昇した。DNAとタンパク質との結合や安定性においても、静電反発の効果が認められた。
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© 2021 日本DDS学会
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