抄録
ウイルス性感染症を予防するうえで、ワクチンは最も有効な手段の一つである。1976年、エドワード・ジェンナーが世界初のワクチンである種痘を発明して以来、さまざまなウイルス性感染症に対して、不活化ワクチン、弱毒生ワクチン、組換えタンパクワクチン、ウイルスベクターワクチン、核酸ワクチンなど、多様なプラットフォームに基づくワクチン開発が進められてきた。本稿では、数あるワクチンプラットフォームの中から、ウイルスベクターワクチンに着目して、いくつかの例をあげて概説するとともに、近年、国際的な問題となっている新興感染症に対するワクチン開発などの取り組みについても述べる。