抄録
アンチセンス核酸やsiRNAに代表される核酸医薬品は、ワトソン-クリック塩基対によってRNAに結合するように設計されている。これまで治療が難しかった遺伝性・難治性疾患を中心とした疾患に対する新しいモダリティとして注目を集めている。最初の市場に出た2種類の核酸医薬品はいずれも眼球内への局所投与であったが、その後、2013年には初の全身投与の核酸医薬品が開発された。標的臓器への効率的な送達が一つの課題であったが、肝細胞上のリガンド(ASGPR)に結合するN-アセチルガラクトサミン(GalNac)を結合させたsiRNAが開発され、臨床試験でその有用性が実証された。2022年までに4種類のGalNac-siRNAが上市されている。今後、ますますリガンドを結合させた核酸医薬品の開発は進むと考えられる。本稿では、核酸医薬品開発の現状を、特に標的指向化を中心に概説する。