抄録
近年、超音波と超音波造影剤であるマイクロバブル(気体を脂質などで覆い安定化した微小気泡)を組み合わせた血液脳関門の透過性亢進技術が注目されている。超音波照射により、マイクロバブルの振動などが誘導され、その際に生じる機械的作用が血液脳関門に影響を与え、透過性が亢進されると考えられている。超音波照射条件やマイクロバブルの投与量などを適切に設定することで、低侵襲的な脳への薬物送達が可能であることが報告されている。本稿では、超音波とマイクロバブルを用いた脳標的薬物送達における筆者らの研究を紹介するとともに、血液脳関門の透過性亢進に影響を与えるマイクロバブル特性や臨床研究などのこれまでの研究動向を概説し、今後の展望を述べる。