抄録
薬物トランスポーターは、多様な薬物を基質として認識し、生体内において血中滞留性や組織分布の決定要因として重要な役割を果たす。本稿では、筆者らの研究成果も含めて、薬物トランスポーター研究に関して、分子論から臨床研究までを紹介する。①薬物トランスポーターの立体構造が解かれ、多様な化合物を基質として認識する機構や輸送駆動力に関する知見が得られた。②microphysiological system/complex in vitro systemの登場により、ヒト臓器機能を模倣したin vitroモデルの開発が進展した。③薬物トランスポーターの輸送活性を反映したバイオマーカーを利用することで、薬物相互作用研究など、薬物トランスポーターの輸送活性の変動を評価することが可能となった。