抄録
癒着を伴う角膜上皮幹細胞疲弊症(Limbal Stem Cell Deficiency, LSCD)を適応とする新しい再生医療等製品が2023年より臨床応用された。この製品は、羊膜上に患者由来の口腔粘膜上皮細胞を培養重層化した細胞シートである。難治性の眼表面疾患に対してこの細胞シートを眼表面に移植する治療法は、京都府立医科大学眼科学教室にて基礎研究と臨床試験が進められてきた。当社は第3相医師主導治験の結果に基づき製造販売承認申請を行った。承認を取得し、この治療法の新規性が認められ、原価計算方式による保険償還価格を獲得することができた。未上場の会社が再生医療等製品の製造販売承認を取得するのは本邦初のことであり、またその事業化を順調に進めてきていることは、大学発の技術を社会実装していくモデルケースの一つとなると思われる。