Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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ISSN-L : 0913-5006
39 巻, 2 号
日本DDS学会
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
FOREWORD
OPINION
特集 “基礎研究を社会実装する”  編集:新留琢郎
  • 堀 正敏
    2024 年 39 巻 2 号 p. 86-94
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    近年、新薬のモダリティは多様化し、今では中・高分子医薬品やさまざまな生物製剤の開発が低分子化合物による医薬品開発を上回っている。同時に、多様化するモダリティに対応すべき新薬の安全性や品質に係わる規制科学技術の開発も同時に発展しなくてはならない。これに伴い、製薬企業は創薬開発の初期の段階をアカデミアやバイオベンチャーに求めるOpen innovationのシステムに経営方針を変換した。日本においてもこの動向は同じであり、今後、さまざまな形で創薬科学や規制科学を底上げする多様な基礎研究の発展が、あらゆる研究分野で必要である。アカデミア研究者においては、創薬科学や規制科学の知識を身につけ、それらを意識した研究推進こそ、科学立国たる日本に必要である。TRSアカデミアコンソーシアムは、分野の垣根を越えたアカデミア研究者による創薬科学と規制科学研究の教育研究を支援する。
  • 益田 裕樹
    2024 年 39 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    試薬業界における一般的な製品開発のアプローチを述べるとともに、大学発技術を実用化する際の取組事例を紹介する。特に、大学発技術を社会実装する場合の課題をインセンティブと市場とのマッチングに切り分けて考察し、課題解決に近づく提案をまとめた。日本の高い基礎研究技術をより多く、素早く社会実装のステージへと進め、大学・企業共に一層の社会貢献につながる取組が促進することを願う。
  • 川太 規之
    2024 年 39 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    昨今のスタートアップへの注目や同推進政策を背景に、大学発スタートアップとそれに投資するベンチャーキャピタル(VC)は増加し、スタートアップの資金調達額も増加している。一方、資金調達可能なスタートアップ数が減少し調達額に大きなばらつきが生じる等、VCの投資はスタートアップを選別するフェーズに入っている。本稿では、今後スタートアップにより技術の事業化を目指される方向けに、大学発スタートアップやVCの概況に加え、資金調達の種類や資金調達元として中心となるVCとの付き合い方等を記載した。最後に、筆者がファンドマネージャーとして参画する、九州を中心とした大学発スタートアップに投資するVC、QBキャピタルの取り組みについて紹介する。
  • 櫻井 和朗, 有馬 賢治
    2024 年 39 巻 2 号 p. 108-115
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    2000年の多糖核酸複合体の発見から、NapaJen Pharma Inc.の設立とコロナ禍での苦闘、そして新たな投資家としてRemiges Venturesを迎えて再起してきた過程を振り返る。また、最近、日本法人の社名をImmunohelixとして新たなパイプラインの開発に取り組んでいることを概説するとともに、当社の基盤技術を紹介し、基礎技術をイノベーションにより実用化するためには何が必要かを議論したい。
  • 権 英淑
    2024 年 39 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    筆者らは水溶性高分子からなる溶解型マイクロニードル(MN)と生分解性ポリマーからなる塗布型MNを開発し、2008年世界で初めてヒアルロン酸MN技術を応用したスキンケア化粧品を製品化した。医療分野においては、糖尿病治療薬exendin-4などの薬物のバイオアベイラビリティが著しく向上し、皮下注射とほぼ同等な動態挙動を示した。MNは、痛みを最小限に抑えて、低侵襲、自己投与を可能とし、パンデミック時の大規模かつ迅速な接種を可能とする有望なワクチン投与方法である。インフルエンザワクチンMNを用いた臨床研究では、A型株、B型株に対してThe European Medicines Agency(EMA)判定基準により安全かつ有効であることが実証された。特に筆者らは皮膚穿刺性を格段高めたDonutNeedlesを開発し、新規ワクチンの事業化に向けて進捗させつつある。
  • 濱藤 徹郎
    2024 年 39 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    癒着を伴う角膜上皮幹細胞疲弊症(Limbal Stem Cell Deficiency, LSCD)を適応とする新しい再生医療等製品が2023年より臨床応用された。この製品は、羊膜上に患者由来の口腔粘膜上皮細胞を培養重層化した細胞シートである。難治性の眼表面疾患に対してこの細胞シートを眼表面に移植する治療法は、京都府立医科大学眼科学教室にて基礎研究と臨床試験が進められてきた。当社は第3相医師主導治験の結果に基づき製造販売承認申請を行った。承認を取得し、この治療法の新規性が認められ、原価計算方式による保険償還価格を獲得することができた。未上場の会社が再生医療等製品の製造販売承認を取得するのは本邦初のことであり、またその事業化を順調に進めてきていることは、大学発の技術を社会実装していくモデルケースの一つとなると思われる。
DDS製品開発の最前線
  • 三上 大輔, 松村 幸一, 中野 敦
    2024 年 39 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー
    プロウペスは、ジノプロストン10 mgを含有する親水性ポリマーと、これを包含する取り出し用紐で構成され、標的部位である子宮頸部に貼りつくように挿入し、持続的にジノプロストンを放出することで、子宮頸管を中心に効果を発揮する。プロウペス腟用剤10 mg(ジノプロストン腟内留置用製剤:プロウペス)は、日本人および非日本人女性を対象にした第Ⅰ相試験(228試験)において薬物動態、安全性及び忍容性が評価され、多施設共同非盲検第Ⅲ相試験(261試験、262試験)において有効性および安全性が評価され、2020年1月に「妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進」を効能又は効果として承認を取得した。医薬品リスク管理計画におけるリスク管理や産婦人科診療ガイドライン産科編2023における日常診療の指針のもと適正に使用され、臨床研究結果も報告されてきている。
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