抄録
間葉系幹細胞(MSC)は、さまざまな臓器の疾患に対し、抗炎症分子の分泌による炎症抑制や、分化による損傷組織を補填できる可能性がある。しかし、静脈内投与では、標的臓器への集積率は数%程度である。したがって、MSCの治療標的部位への集積を向上させることで治療効果が向上できる。これを達成するために、細胞の走化性・接着能を向上させる機能分子を細胞膜上に増やすことが重要である。修飾する機能分子としては、標的部位で高発現する分子に特異的に結合できる、受容体や接着分子、抗体やアプタマーが有用である。本稿では、これらの機能分子を細胞表面に修飾する方法について具体例を挙げて紹介し、比較しながらそれぞれの特徴を議論する。