抄録
悪性腫瘍、特に固形腫瘍の標準治療は、分子標的薬や免疫治療製剤の登場・進歩によって大きく変化してきている。治療成績は次第に向上し、早期発見・早期治療により治癒可能な症例も少なくない。しかしわが国においては、悪性腫瘍は死因第1位になって久しい近年もなお、死因第1位であり続けている。その治療技術開発の最前線では細胞をツールとした製剤の高機能化が精力的に進められており、本稿では特に遺伝子改変を行わずに施される細胞表面修飾について紹介する。次々と登場する新規薬剤の作用機序と治療戦略を理解すること、またがん撲滅に向けた潮流強化の一助となれば幸いである。