抄録
医薬品の研究開発において動物実験は薬物動態や安全性、薬効評価に重要であるが、動物福祉の観点から代替手法が求められている。したがって、前臨床研究のヒトへの外挿性を向上させるため、ヒトの生理的反応を再現できる新しいin vitroモデルの必要性が高まっている。ヒト生理的反応を再現する技術の一つとして生体模倣システム(Microphysiological systems:MPS)が注目されており、新薬の研究開発成功率の向上に繋がることが期待される。本稿では、MPSが創薬に与える貢献や、具体的な活用事例を製薬企業の視点から概説する。さらに、中枢神経を標的とした薬物送達システム研究におけるMPSの具体的な活用事例を紹介する。