抄録
がん領域での創薬研究では、臨床への予測精度の高いデータを提供する患者由来組織を活用したin vitroモデル、ex vivoプラットフォームおよびtumor-on-a-chipなどが開発されている。これらにより作用機序の解明や患者層別化の研究が可能になり、結果的に迅速な新規開発候補化合物の評価や効率的なトランスレーショナルリサーチに繋がる。さらに、ハイコンテンツイメージング技術や多種多様ながん組織を含むバイオバンクを組み合わせることで、創薬研究に大きな価値が提供される。これらの技術を統合したプラットフォームは、動物実験における倫理的な原則の3R(Refinement:苦痛の軽減、Replacement:代替法の利用、Reduction:動物利用数の削減)に寄与するのと同時に、臨床試験での成功率を改善し、コスト削減を通じて医薬品開発プロセスを効率化し、最終的には革新的新薬の承認の迅速化に貢献することが期待される。