抄録
医薬品開発における前臨床試験では、現時点で動物実験を完全に排除することは困難である。一方、動物実験で得られた結果がどれだけヒトに外挿可能かという点は、依然として大きな課題である。本稿では、動物使用を最小限に抑えつつ、臨床予測性に優れた前臨床評価を可能とするマウスモデルの活用法を提案する。免疫系ヒト化マウスや遺伝子ヒト化マウスをはじめとする「よりヒトに近い」マウスモデルの紹介に続き、その可能性と将来展望を議論する。さらに、より良い動物使用を目指すための、マウスにおける動物福祉の3Rs(Replacement:代替、Reduction:削減、Refinement:洗練)の具体的な実践方法について紹介する。マウスは所詮マウスに過ぎないのか?本稿ではそうした通念を覆す、マウスのもつ可能性の一端を紹介する。