抄録
TK6細胞はヒト由来のp53野生型リンパ芽球細胞株であり、OECDガイドライン準拠の小核試験(TG487)および遺伝子突然変異試験(TG490)に用いられる高信頼性のin vitroモデルである。p53機能が保たれているため偽陽性率が低く、ヒトへの外挿性にも優れる。近年では、error-corrected NGSやMultiFlowアッセイなどの先端技術に応用され、メカニズム解析や新規指標の開発に貢献している。さらに、DNA修復機能を欠損させたゲノム編集細胞株も確立され、基礎研究にも活用されている。各種規制当局への申請データとしての利用も進んでおり、本稿では、TK6細胞の動物実験代替としての有用性と今後の展望について概説する。