抄録
核医学は診断から治療を統合する学問へ進展し、抗体は高い特異性によりセラノスティクスの中心的キャリアとなった。アルファ(α)線を用いたTATは短飛程・高LETにより少数の命中でDNA二本鎖切断を誘導し、低酸素や放射線抵抗性腫瘍にも有効である。その一方で、担体分子の局在や薬物動態の制御が治療効果を左右する。DDSの視点からは、核種の半減期と抗体動態を整合させる「時間設計」が鍵となる。特に211Atは抗体の集積時間と適合し、臨床実装に適した核種として日本が世界を先導している。89Zr-PETとの同型セラノスティクスやVHH・金ナノ粒子利用など新技術も展開し、免疫応答を誘導する知見も得られている。今後は核種供給、規制、分子設計、免疫療法との併用を統合することで、抗体ベースのTATは臨床腫瘍学の新たな柱となり得る。