2026 年 41 巻 3 号 p. 186-193
患部に移植した移植細胞の損失や漏出は、細胞移植治療の最大の障壁である。本稿では、これを解決するバイオマテリアルを用いた細胞デリバリーについて、優れた生体適合性をもつゼラチンやコラーゲンを基盤とした技術を中心に概説する。筆者らは、架橋ゼラチン粒子や加水分解ゼラチンの物性最適化により、心筋や網膜への投与後における物理的な逆流を抑制し、簡便に細胞の生着率を高める技術を実証した。さらに、難治性骨折や変形性膝関節症、特発性脳出血等、標的組織の力学的環境に合わせてコラーゲンの濃度やゲル化機構をチューニングした臨床応用事例を紹介し、疾患に応じた適切な材料設計の重要性を展望する。