抄録
この項では, 最近日本で使用可能となった徐放性麻薬製剤について述べた. モルヒネは, 消化管のいずれの部位でも吸収されるので, 薬剤の徐放制御機構を工夫·開発することにより, その薬物動態の調節ができる. MSコンチンは, 最も早く導入されたモルヒネ徐放性製剤であり, その後カディアン, モルペス, MSツワイスロンが使用可能となり, 今後もいくつかの製剤が使用可能になる予定である. 今回, これらの薬剤の徐放性機構を中心に述べた. フェンタニルは, その薬物学的特性により, 経皮吸収型製剤が開発された. そのほかに, 口腔粘膜吸収型製剤も導入される予定である. また, オキシコドンの徐放性製剤も使用可能となったので, 癌性疼痛管理の選択肢が拡大しつつある.