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がん治療とDDS
イムノリポソームMCC-485の臨床
宇良 敬白尾 国昭松村 保広濱口 哲弥宮田 佳典大倉 久直陳 勁松山尾 剛一神波 亜矢子高橋 和展
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2004 年 19 巻 5 号 p. 439-444

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抄録
MCC-465はドキソルビシン(DXR)内包イムノリポソームである. ポリエチレングリコール(PEG)とGAH抗体がリポソーム表面に付加されている. GAH抗体とは, 90%以上の胃がん組織に反応するが, 正常組織には反応しないヒト単クローン抗体である. 前臨床試験で, MCC-465はヒト胃がんにおいて, DXR単体またはDXR内包PEG-リポソーム製剤よりもがん細胞へのDXR取り込みが増加しており, すぐれた細胞毒性活性があることが示された. これをもって, 最大耐用量(MTD), 用量制限毒性(DLT), 臨床第II相試験に対する推奨用量の推定, MCC-465の薬物動態を評価することを目的として臨床第I相試験が施行された. 対象は, 再発・進行胃がん患者とし, MCC-465の投与は, 1時間の静脈内投与を3週ごとに最高6サイクルまで継続するよう計画された. 23例が登録され, 台計62サイクルが投与された. 用量は6.5∼45. 5mg/m2まで5レベルが検討された. MTDは, 45.5mg/m2で, DLTは骨髄抑制と食欲低下であった. 他の毒性は軽度であり, 手足症候群(PPE), 心毒性はともに観察されなかった. Infusion related reactionは16例に出現した. 抗腫瘍効果に関しては, 評価可能18例中, PR例はなかったが, 10例がNCであった. 薬物動態学的検討では, Doxilと同様のAUCとCmaxを示した. 3週ごと投与スケジュールでの臨床第I相試験によりMCC-465の忍容性が確認され, MCC-465の推奨用量は32.5mg/m2と推定された.
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