抄録
抗がん剤は治療域が狭いことが知られている. 抗がん剤は腫瘍組織に選択的に集積することが出来ず, さらに, 腫瘍細胞の標的に対しても非選択的に作用するため, 治療域と毒性域が近接しており, 満足いく効果が得られていない. がん治療におけるDDSの役割は, より抗がん剤を選択的に腫瘍組織に到達させることにより効果を高めることにある. EPR効果によりpassive targetingが可能となっていると考えられているが, そのEFR効果を高めるために抗がん剤を化学修飾したりキャリアに封入するという工夫がなされてきた. 本稿では, ミセル内包化剤の前臨床および臨床試験について述べる.