2005 年 20 巻 1 号 p. 30-34
抗がん剤における獲得耐性機序に関しては, 薬剤それぞれに幾多の耐性メカニズムの存在があることが判明してきたが, その耐性克服においては臨床的にいまだ成功したためしがない. 今回, ミセル体およびイムノリポソームによる獲得耐性克服の可能性について検討したが, 結果はネガティブであった. 薬物デリバリーの見地から臨床の固形腫瘍には自然耐性が存在する. すなわち腫瘍血管に乏しくかつ間質に富むがん, スキルス胃がんや膵がんなどである. これらは通常の方法では抗がん剤ががん細胞までに到達しにくく, たとえin vivoで優秀な効果を示してもin vivoではまったく効力を示さないということになる. 本稿ではこの自然耐性に対する対策につき言及した.