2005 年 20 巻 2 号 p. 110-117
現在, 生体組織の再生誘導能を介した治療(外科的再生医療)が試みられている. 一方, 内科的な難治性慢性疾患の一つである線維性疾患における細胞, 生体シグナル, および組織再生修復に関する基礎生物医学が進歩している. そこで, これらの分子メカニズムに基づいた生体組織の再生誘導能を利用した, 線維性慢性疾患の内科的再生誘導治療(再生医療)が可能となっている. たとえば, 線維性組織をドラッグデリバリーシステムを利用して, 効率よく消化分解させる. 消化分解された部位は, その周辺の健康な組織の再生誘導能力により再生修復される. 本稿では, 線維性慢性疾患に対する内科的再生医療のアイデアを具体例を示しながら説明する.