抄録
現在, 花粉症治療を目的とした持続性および使用性にすぐれた鼻腔用製剤の開発が望まれている. そこで, ステロイド性抗炎症薬フルニソリドを主薬とした鼻腔用軟膏の開発を試み, 本研究では特にその薬理効果について検討した. ラットの両鼻腔に水性ゲル軟膏および白色ワセリン軟膏を投与し, 2時間および24時間後に鼻腔内灌流を行い, ヒスタミンによる鼻粘膜血管透過性亢進反応を評価した. その結果, 製剤を投与しないコントロール群では鼻粘膜血管透過性亢進反応がみられ, 水性ゲルおよび白色ワセリン軟膏は, いずれも投与2時間後に薬理効果を示すことが明らかとなった. さらに, 水性ゲル軟膏では投与24時間後においても明らかな効果がみられた. 鼻腔用軟膏の粘度を測定した結果, 水性ゲル軟膏は白色ワセリン軟膏にくらべて粘度が低く, 展延性にすぐれることが明らかとなった. したがって, 薬理効果は軟膏の鼻粘膜への塗布効率のよさと密接に関連するものと推察された.