2020 年 76 巻 7 号 p. III_491-III_501
汚泥再生処理センターでの浄化槽汚泥および生ごみなどの有機性廃棄物のメタン発酵を目的に,ディスポーザー破砕生ごみを浄化槽で貯蔵し,浄化槽汚泥と同時に回収するプロセスの実現可能性およびLife Cycle CO2(LCCO2)排出量を検討した.浄化槽内の固液分離槽を模した反応器(有効容積0.2L)による4週間程度の貯蔵実験を3回継続して行い,13~25℃での模擬生ごみの分解挙動を調査した.その結果,乳酸の生成に伴いpHが3.5前後に低下し,浮遊物質(SS)濃度の低下が抑制されたため,80%程度の模擬生ごみのSS回収率が得られた.世帯人数を3.5人とした場合,従来の生ごみおよび浄化槽汚泥を独立して回収するプロセスに対し,本研究で提案する同時回収プロセスによるLCCO2排出量は約140kg-CO2/(戸・年)削減され,自治体における一般廃棄物処理コストは約9500円/(戸・年)削減されることが示された.