1996 年 16 巻 4 号 p. 393-402
難削材で知られるチタンの歯科領域への利用に際し, 新たに結合材, 砥粒の粒度を変えたA-Dの4種類の焼結ダイヤモンドホイールを試作してその研削特性を評価した.市販のカーボランダムホイール (GC) を対照に用いてチタン試験片に対する研削試験を行ったところ, 試作ホイールの研削量はGCと同等かあるいは若干劣っていた.しかし, ホイールの摩耗量はGCホイールに比べて著しく低く, 研削比が大きいため, 効率よくチタンを研削できることが示唆された.4種類の試作ホイールの中では銅系の結合材で粗い砥粒で構成されているCホイールが最も研削効率に優れることが判明した.一方, チタンは反応性に富むので, 研削中のチタン試験片の発熱挙動についても検討を加えた.試験片の温度は荷重および使用ホイールの影響を受けることが明らかとなり・ホイール間の比較では試作ホイールの方がGCホイールよりも温度上昇が小さかった.また・試作ホイールで研削後のチタン表面をEDX分析した結果, 研削面にホイールの成分は検出されなかった.以上のことから, 焼結ダイヤモンドホイールは効果的なチタンの機械加工用工具になりうるものと期待された.